石油株は現在、JPモルガンが想定する2026年のファンダメンタルズよりも1株当たり40ドル高い水準で取引されている。このギャップは米国とイランの対立による純粋な地政学的リスクを反映したもの。
今週は3社が2026年第1四半期の決算を発表し、それぞれ異なる対応をみせた。1社は分散型ヘッジとして機能。もう1社は高ベータ型の上流部門銘柄、残る1社は地政学的プレミアムが解消されれば最も影響を受ける。5月2026年には各チャートが明確な方向性を示す。
エクソンモービルは、この監視リストで最も分散化された石油株である。同株は176.48ドルの高値から141.96ドルの安値まで調整した。これは米・イラン間の緊張緩和で石油価格から地政学的プレミアムが剥落したため。
再燃した緊張と「プロジェクト・フリーダム」で反発。同社株は現在、4月17日から続く上昇チャネル内で154.88ドルで推移している。このチャネルは2本の上昇トレンドラインで構成される。
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ただし、現状でチャートはまだ上昇傾向に転じていない。XOMが上限トレンドラインを明確に上抜けるまでは修正的な継続パターンにとどまる。4月17日から5月5日までの値動きでも明らかな出来高の乖離が見られる。
株価はチャンネル内で上昇する一方、同期間の出来高は低下していた。上昇トレンド下での出来高減少は買い手の本気度が低いサイン。
この出来高の動きは2026年第1四半期のファンダメンタルズと整合する。EPSは1.16ドルで15%上回ったものの、同四半期のフリーキャッシュフローは27億ドルと、前四半期の56億ドルから減少。現金変換の弱さはチャートの慎重さを映している。
当面の注目水準は155.67ドル。日足で上限トレンドラインを明確に上抜ければ、さらなる上値余地が生まれる。一方、147.52ドル割れなら下落基調が確定し、142.48ドル(0.382フィボナッチ)、138.41ドル(0.5)、134.34ドル(0.618)まで調整余地が広がる。
2026年5月には、XOMのリカバリーチャネルは、地政学的プレミアムと「プロジェクト・フリーダム」反発の両方によるオリジナルな修正の決着を見る。
XOMが慎重な動きを続ける一方で、FANGは高ベータ型の石油株として位置づけられる。チャート上では2つの上昇フラッグ・アンド・ポール型パターンが重なる。
最初のポールは1月7日から3月27日まで継続し、4月21日に上抜けで決着。2番目の小さめのポールは4月17日から続き、現在は揉み合い局面。現行のフラッグ型の上限トレンドラインを上抜けし、その後214.58ドル突破となれば、目先で約26%の上昇余地が見込まれる。
この水準が経済ロジックの分岐点となる。FANGの2026年第1四半期決算は、EPS4.23ドルで13%上振れ。石油生産ガイダンスも日量52万バレル超に引き上げた。
ただし、通年の設備投資額は37億5000万ドルから39億ドルに増額。原油価格軟化の可能性がある中で支出増を決めたため、決算後の反応は慎重となった。同社株は5月6日に3.51%下落し、206.18ドル。
2本のテクニカルターゲットがチャート上に重なり、いずれも211〜214ドル付近で収束する構図。
214.58ドルを日足で上抜ければ、次は222.17ドル、236.29ドルが上値目処。203〜204ドル割れなら弱含みが決定し、192.43ドルで一段安。187.20ドル割れで直近の強気パターンは否定される。
2026年5月、FANGのチャートは2026年の積極的な投資計画が原油安でも報われるかを示す。214ドル超えなら投資増の効果確認、187ドル割れなら原油安への警戒感が強まったといえる。
XOMやFANGが地政学的リスク上乗せに賭ける一方、OXYは地政学的プレミアム剥落時に最も影響を受ける石油株といえる。JPモルガンは2026年のブレント原油平均価格を1バレル60ドル前後と予想しており、その根拠は世界的な供給過剰。
弱気シナリオは、OXYの2026年1-3月期決算で表れている。1株当たり利益(EPS)は1.06ドルと市場予想の0.65ドルを上回ったが、フリーキャッシュフロー(FCF)はマイナス1億1200万ドルと赤字転落。現金流出は、実現原油価格が1バレル当たり69.91ドルと地政学的プレミアムが全面的に反映された中で発生した。原油価格が60ドル近辺まで低下した場合、OXYの現金流出はさらに拡大する。
OXYの株価では、2月27日以降、弱気のヘッドアンドショルダーが形成されている。パターンでは67.48ドルがヘッド、右肩が60.79ドル付近、ネックラインは51.20ドル近辺。正規の下抜けが成立すれば、22.75%下落となる40.13ドルまでの下値めどが示唆される。
Project Freedomとイラン情勢の緊張再燃が、価格を右肩付近で下支えしている。
米軍の護衛下で商業タンカーがホルムズ海峡を航行するProject Freedomにより、米国とイランの緊張が続くとの見方が強まっている。この動きが原油価格を高水準で維持し、OXYの収益を下支えする。OXYの株価は現在59.34ドルで推移。
1日終値で60.79ドルを上回れば67.48ドルまでの上昇余地が開け、ホルムズ海峡の地政学的圧力再燃を示す。原油安で同水準を超えられなければ、OXYは57.13ドルまで下落。51.20ドル割れとなれば、パターンの下方ブレイクが成立し40.13ドルまでの下落が示唆される。
2026年5月時点で、OXYのチャートは地政学的プレミアムが後退するか否かの最も明確なシグナルとなる。終値で60.79ドルを上回れば右肩を維持、51.20ドル割れとなれば40.13ドルへの下値ブレイクを確認。