StarkWareのprivate KYC構想は、本人確認で必要な事実だけを示し、不要な個人情報の開示を減らす狙いです。規制対応と漏えい対策の両立がテーマです。
StarkWareは、個人情報漏えいへの対策としてprivate KYCの開発を進めています。KYCは、金融サービスなどで利用者の本人確認を行う手続きです。
Starknetは、現在の本人確認について「必要なのは一つの事実だけなのに、文書全体を求めている」と説明しています。private KYCの狙いは、利用者が本人確認に必要な最小限の情報だけを示し、不要な個人情報の開示を減らすことです。
暗号資産サービスでは、規制対応として本人確認が求められる一方、身分証画像や住所などのデータが集まるほど、漏えい時の被害が大きくなります。private KYCは、この負担を技術的に下げようとする取り組みです。
通常のKYCでは、利用者が身分証明書や関連情報をサービス事業者に提出します。事業者は本人確認を行うために多くの個人情報を保持し、管理する必要があります。
private KYCでは、本人確認に必要な条件を満たしていることを示しながら、文書全体や過剰な情報を渡さない設計が中心になります。たとえば、年齢条件、居住地域、制裁対象ではないことなど、サービスに必要な判定だけを扱う考え方です。
この仕組みが実用化されると、利用者はサービスごとに同じ個人情報を何度も提出する必要が減り、事業者側も保管する機微情報を減らせます。
個人情報漏えいの被害は、集めた情報が多いほど大きくなります。身分証画像、住所、生年月日、顔写真などが一括で流出すると、利用者は長期にわたってなりすましや不正利用のリスクを負います。
private KYCは、本人確認そのものをなくすものではありません。必要な確認を残しつつ、サービスが直接持つ個人情報の量を減らすことで、漏えい時の被害範囲を小さくする方向の技術です。
暗号資産業界では、マネーロンダリング対策や制裁対応のために本人確認が求められます。同時に、ブロックチェーン利用者はプライバシーや自己管理を重視します。
private KYCが解こうとしているのは、この二つの要求の衝突です。規制上必要な確認を行いながら、利用者の文書全体や不要な属性を提出しない形に近づけることが目的です。
実用化の焦点は、どの情報を誰が検証し、どのサービスがその結果を信頼できるのかです。StarkWareの取り組みは、本人確認を「多くの個人情報を渡す手続き」から「必要条件を証明する手続き」へ変える試みです。


