BTCは6万ドル前後の支持帯をめぐり、テクニカルな反発期待とマクロ由来の弱気見方が並ぶ局面です。短期の値動きより、どの時間軸の投資家が買い支えるかが焦点になります。
Bitcoinは2025年10月に約12万6,000ドルの過去最高値を付けた後、50%以上下落し、足元では5万8,000ドルから6万ドル前後の支持帯を試しています。この水準は直近数カ月で3回目の試しとなり、下抜けした場合は4万ドル台前半が次の主要な支持帯として意識されています。
下落は200日移動平均線で上値を抑えられた後に加速し、その水準から約30%の下げにつながりました。6月中旬には米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な姿勢、米国とイランをめぐる地政学リスク、原油高によるインフレ懸念が重なり、リスク資産全体に売り圧力が広がりました。米国の現物Bitcoin ETFでは、4営業日連続で合計約1億1,380万ドルの純流出も発生しています。
Fairlead Strategiesの創業者兼マネージングパートナーであるKatie Stockton氏は、現在の焦点を「安定化」と位置付けています。同氏は、6万ドル前後が重要なフィボナッチ・リトレースメント水準に当たり、この水準を割り込むと全値戻しに近い動きが起きやすいと説明しました。
同氏は、Bitcoinが長期の売られ過ぎ状態に入っており、過去のパターンでは勢いの転換につながりやすい時間帯にあるとも見ています。ただし、底打ちを判断するには2〜3週間の価格安定が必要だとしています。短期のリスク管理では、4年半減期サイクルのような少ないサンプルに頼るより、トレンド追随の道具を重視する姿勢です。
資産運用会社GMOの共同創業者Jeremy Grantham氏は、Bitcoinを「役に立たない投機的な仕組み」と呼び、時間をかけて存在感を失うとの見方を示しました。同氏はBitcoinを保有したことがなく、突然の崩壊ではなく、年単位・十年単位で関心が薄れていく形でゼロに近づくと見ています。
同氏は、Bitcoinが価値保存手段として不安定だと批判し、強い経済環境の中で価格が半分になった点を問題視しました。金が同じ時期に堅調な上昇を示していることも、Bitcoinに対する比較材料として挙げています。
一方で、長期強気派の買い姿勢も残っています。メキシコの実業家Ricardo Salinas Pliego氏は、投資ポートフォリオの70%をBitcoinに振り向けています。2020年時点では10%だった比率を大きく引き上げた形です。同氏は、不換通貨への不信を背景に、Bitcoinを現金や金よりも没収されにくく、国境を越えて扱いやすい資産と見ています。
同氏は、2016年に4,000 BTCで買えたロンドンの住宅が現在では30 BTC未満で買えるという例を挙げ、長期での購買力を重視しています。米国の不動産投資家Grant Cardone氏も、不動産のキャッシュフローを使ってBitcoinを買い続ける考えを示し、株式発行ではなく収益不動産に裏付けられたトレジャリー企業の形を打ち出しています。
現在のBitcoin市場では、6万ドル前後を維持できるかが短期の分岐点です。この水準で数週間の安定が見られれば、売られ過ぎからの反発余地が意識されます。反対に、明確に下抜けすれば、4万ドル台前半への下落リスクが大きくなります。
議論の対立軸は、Bitcoinが過去と同じ75〜80%規模の下落を再び経験するのか、現物ETFや機関投資家の参加によって下値が浅くなるのかにあります。価格だけでなく、ETF資金フロー、米金融政策、長期投資家の買い姿勢が、次の方向を決める材料になります。


