米国の暗号資産規制では、CLARITY Actの上院審議を軸に、SECとCFTCの役割分担、Section 604、7月の採決枠が焦点です。市場分類の明確化は、取引所や発行体の対応にも直結します。
米国のデジタル資産市場構造法案であるCLARITY Actは、2026年内成立の可否が7月の上院日程に左右される局面に入っています。Galaxy Digitalの調査部門は、同法案が2026年に成立する確率を3週間前の60%から50%へ引き下げました。理由は、上院の審議日程が詰まる一方で、銀行委員会と農業委員会の統合案、採決日、上院指導部の明確なフロア確保がまだ揃っていないためです。
CLARITY Actは5月14日に上院銀行委員会を15対9で通過し、上院の立法カレンダーでは第423号に置かれています。ただし、審議入り動議も本会議採決日も設定されていません。下院では2025年7月17日にH.R. 3633が294対134で可決済みで、上院案に修正が加われば、最終的には下院との再調整も必要になります。
法案の中心は、デジタル資産の監督権限を証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の間で整理する点です。SECは証券募集や投資契約に関わるデジタル資産取引を扱い、CFTCはデジタル商品スポット市場を運営する仲介業者の監督を担う設計です。
この枠組みは、執行措置、当局解釈、裁判所判断に大きく依存してきた従来の状態を置き換える狙いがあります。暗号資産企業は、どの規制当局が管轄するのか、特定のトークンや取引を米国で合法的に扱えるのかを判断しにくい状態が続いていると訴えています。
ステーブルコインについては、顧客が決済用ステーブルコインを保有しているだけで利息や利回りを支払うことを禁じる一方、取引、プラットフォーム利用、流動性提供などに結び付いた報酬は認める方向です。銀行側は、利息に近い支払いが預金流出につながると警戒し、暗号資産企業側は広すぎる禁止が競争や正当なインセンティブを妨げると反論しています。
最大の対立点の一つは、Section 604として扱われるBlockchain Regulatory Certainty Actです。この条項は、顧客資産を保管せず、取引を直接管理しない非カストディ型ソフトウェアやブロックチェーン基盤の開発者を、送金業者として扱わないための保護を設けます。
業界団体は、コードを書いたり公開したりする開発者が、顧客資金を預かる金融会社と同じ免許・報告義務を負うべきではないと主張しています。一方、全米地方検察官協会、全米連邦検察官補協会、国際警察長協会、全米保安官協会の4団体は、広すぎる免除が本人確認やマネーロンダリング対策の抜け穴になると警告しています。
もう一つの争点は、政府高官や家族の暗号資産保有・商業関係に関する倫理条項です。5月の委員会審議では倫理修正案が否決されましたが、本会議採決の前に再び焦点になる見通しです。民主党のRuben Gallego氏とAngela Alsobrooks氏は委員会段階で賛成しましたが、最終支持は未解決の論点次第という条件付きです。
上院は6月29日から7月10日まで州内活動期間に入り、8月10日から9月11日にも休会期間があります。そのため、現実的な審議枠は7月中旬から8月上旬までの約4週間に限られます。上院で議事妨害を乗り越えるには通常60票が必要で、共和党側には少なくとも7人の民主党議員の支持が必要になります。
Cynthia Lummis上院議員は、7月4日の休会前後に最終的な上院妥協案をまとめ、7月中に前進させる考えを示しています。上院多数党院内総務のJohn Thune氏が7月の本会議時間を確保し、倫理条項、資金洗浄対策、SEC・CFTCの管轄整理で合意を作れるかが、2026年成立の分岐点になります。


