EUのMiCA移行期限を前に、小規模な暗号資産アプリがCASP認可への対応を迫られています。自社で認可を取れない事業者は、ライセンスを持つCaaS基盤への外部委託かEU市場からの撤退を選ぶ局面です。
EUの暗号資産市場規制MiCAをめぐり、2026年7月1日の移行期限が小規模な暗号資産アプリに大きな選択を迫っています。期限後、EU向けに暗号資産サービスを提供する事業者は、CASP認可を前提にした運営が必要になります。自社で認可を取得できない事業者は、認可保有者へ規制対応機能を外部委託するか、EU市場から退くかを選ぶ局面です。
この流れの中で、BitGo EuropeはワルシャワのBielik.ioとのCaaS(Crypto-as-a-Service)提携を発表しました。小規模プラットフォームは、ブランドやユーザー画面を維持しつつ、カストディ、ウォレット、KYC、取引、決済、転送といった規制対応の重い部分をライセンス保有事業者に委ねる構造を取りやすくなります。
ESMAは、認可外CASPへのカストディ外部委託や、EU顧客を第三国エンティティへ回す運用を問題視しています。つまり、単にバックエンドを外部に置けばよいのではなく、委託先がMiCA上の要件を満たしているかが重要になります。
ポーランドでは国内MiCA実施法が大統領拒否により遅れ、国内認可当局の指定が不透明な状態です。一方、リトアニアでは2025年12月末に移行期間が終了し、登録370社超から実質稼働約120社へ淘汰が進みました。これらの事例は、規制移行が単なる書類対応ではなく、事業者数と市場構造を変えるイベントであることを示しています。
CaaSへの移行は、小規模アプリにとって生存手段になります。自社で認可、人員、監査、カストディ体制を抱えずに、EU内でサービスを続けられるためです。ただし、規制機能が少数のライセンス事業者に集まれば、暗号資産インフラの集中化も進みます。
利用者から見ると、表のアプリ名は変わらなくても、実際の資産保管や取引処理は大手CaaS基盤に寄っていく可能性があります。7月1日以降は、各国当局が認可外サービスをどう扱うか、そしてBitGo Europe以外のカストディ・インフラ事業者がどの程度CaaS需要を取り込むかが焦点になります。


