StrategyのBitcoin財務戦略は、BTC価格の下落だけでなく、STRC優先株や転換社債を含む資金調達構造にも圧力が及ぶ段階に入っています。保有拡大モデルの持続性が市場の関心です。
Strategyは6月21日時点で847,363 BTCを保有し、取得総額は641億ドル、平均取得価格は1 BTCあたり約75,651ドルです。Bitcoinが6万〜6万2,000ドル近辺で取引される中、同社の保有分の時価は約520億ドルとなり、取得原価を約120億ドル下回っています。
Bitcoinは6月下旬に5万8,000ドル台まで下げ、2024年10月以来の水準を付けました。これに連動して、Strategyの普通株MSTRは100ドルを下回り、約2年ぶりの安値圏に入りました。別の市場指標では、MSTRは過去最高値から80%以上下落し、企業価値をBitcoin保有額と比べるenterprise mNAVも一時1を下回っています。
圧力の中心は、Strategyの変動利率型永久優先株STRCです。STRCは額面100ドル近辺で取引される設計ですが、6月下旬には71〜75ドル付近まで下落し、額面を約25%下回りました。額面を下回る状態が続くと、優先株を使って有利な条件で資金を調達し、その資金をBitcoin購入に回す仕組みが働きにくくなります。
STRCの年間配当率は額面100ドルに対して11.5%です。市場価格が75ドル前後まで下がると、新規購入者にとっての実効利回りは15%近くまで上がります。これは投資家が、Strategyの劣後的な資本構造に対してより高い見返りを求めていることを示します。
StrategyのBitcoin購入モデルは、普通株や優先株が同社のBitcoin保有価値を上回る評価で取引される時に最も強く機能します。株式や優先証券を高い評価で発行し、その資金でBitcoinを買い増すことで、1株あたりの純資産価値を押し上げる構造です。
しかし、MSTRとSTRCが同時に下落し、enterprise mNAVが1を下回ると、この循環は逆回転します。市場は、Bitcoinそのものだけでなく、負債、優先株、配当負担、希薄化リスクを含めた全体構造に割引を付け始めています。
同社は最近、普通株売却で約3億3,550万ドルを調達しましたが、Bitcoin購入に使ったのは約3,490万ドル、取得量は520 BTCにとどまりました。残りの大部分はドル準備を約14億ドルへ引き上げるために使われています。さらに、同社は32 BTCを平均77,135ドルで売却し、STRC配当の資金に充てる方針も示しました。
Strategyの優先株配当負担は、2026年初めの年3億ドル規模から年12億ドル規模へ拡大しています。現金準備は年初から38%減少し、配当を支える余力は7年超から約14カ月へ縮小しました。別の市場推計では、STRCだけで年12億ドル前後、優先株全体では年17億ドル近い配当負担が意識されています。
2027年から2028年にかけては、転換社債の現金返済リスクも焦点になります。2027年9月15日に約10億1,000万ドル、2028年3月1日に20億ドル、2028年6月1日に約15億ドルのノートが、株価低迷時に現金返済を求められる可能性があります。優先株配当と合わせると、今後2年で約80億ドルの資金需要が意識されています。
Strategyには、普通株の追加発行、優先株の追加発行、債務の借り換え、Bitcoin購入ペースの減速、保有Bitcoinの一部売却という選択肢があります。ただし、普通株発行は希薄化を招き、優先株発行は配当負担を増やし、債務借り換えは投資家需要に左右されます。Bitcoin売却は、長期蓄積を掲げてきた同社の戦略との距離を広げます。
STRCには即時償還を求める仕組みがなく、Strategyは500億ドル超のBitcoin保有と14億ドル規模の現金準備を持っています。そのため、短期的な強制清算とは異なる構造です。一方で、Bitcoinの低迷が長引けば、配当、利払い、資本調達コストが積み上がり、同社がBitcoin回復まで現在の資金調達モデルを維持するための費用がさらに大きくなります。


