米国で、連邦準備制度によるCBDC発行を2030年末まで禁じる条項が、住宅法案を通じて法律になります。トランプ氏の署名がないまま成立する見通しで、デジタルドルをめぐる政策線引きが先に固定されます。
21世紀ROAD住宅法案には、米連邦準備制度が中央銀行デジタル通貨(CBDC、中央銀行が発行するデジタル版の通貨)や、それに実質的に近いデジタル資産を発行または作成することを禁じる条項が含まれています。期限は2030年12月31日までです。
同法案は6月に下院と上院を通過し、民主・共和両党の支持を受けました。住宅政策を扱う法案にデジタルドル禁止が入ったことで、CBDCは金融技術だけでなく、議会政治上の取引材料にもなっています。
CBDC禁止は、政府が個人の決済データをどこまで扱えるかという論点と結びつきます。一方で、米国がデジタル通貨の公的インフラをどう設計するかという長期課題も残ります。
米大統領の机上に法案が届いた後、日曜日を除く10日間に署名も拒否権行使もなければ、米国憲法上は自動的に法律になります。今回の住宅法案は、トランプ氏が6月24日の署名式を取りやめ、署名しない意向を示した一方、拒否権も使わない流れです。
トランプ氏はSNSで、同法案に賛成した共和党議員を批判し、上院にSAVE America Actを優先するよう促しました。SAVE America Actは、有権者登録時に米国市民権の証明を対面で求める内容を含み、投票権をめぐる批判を受けています。
住宅法案の共同提案者であるElizabeth Warren氏は、署名がなくても法案は法律になるという立場を示しました。結果として、トランプ氏がCBDC禁止条項そのものを前面に出さないまま、同条項は発効へ向かっています。
デジタル資産市場では、CLARITY Actの上院審議も続いています。CLARITY Actは、暗号資産の市場構造と監督権限を整理する重要法案で、すでに下院と上院の主要委員会を通過しています。
共和党指導部は、議員が州内活動期間から戻る7月に本会議採決へ進める構えです。ただし、トランプ氏の暗号資産事業との関係は、民主党との協議を難しくしています。2025年の財務開示では、トランプ氏がメームコインや家族のWorld Liberty Financialを含む暗号資産関連事業から14億ドル超の収入を得た形になっています。
CBDC禁止が住宅法案経由で先に成立することで、米国のデジタル資産政策は一部が先行して固定されます。次の焦点は、民間暗号資産の市場構造を扱うCLARITY Actで、倫理条項や監督手続きがどこまで盛り込まれるかです。


