マレーシア・ジョホール州の王族であるトゥンク・イスマイル・イブニ・スルタン・イブラヒム(Tunku Ismail Ibni Sultan Ibrahim)氏が会長兼オーナーを務めるブルイッシュ・エイム(Bullish Aim Sdn. Bhd.)は、リンギット(MYR/RM)建てステーブルコイン「RMJDT」を発行したと12月9日に発表した。
RMJDTは、マレーシア政府主導の国家ブロックチェーン構想である「マレーシア・ブロックチェーン・インフラ(Malaysia Blockchain Infrastructure:MBI)」で採用されているレイヤー1ブロックチェーン「ゼトリックス(Zetrix)」上で発行される。
同ステーブルコインは、貿易決済などにおけるマレーシア・リンギットの国際的な利用の強化や、マレーシアへの外国直接投資(FDI)の誘致を目的として設計されたという。また同取り組みは、グローバルなトークン化の動向と整合し、マレーシアのデジタル資産国家政策を支援するものと位置付けられている。
あわせてブルイッシュ・エイムは、RMJDTのローンチに伴い、デジタル資産トレジャリー会社「デジタル・アセット・トレジャリー・カンパニー(Digital Asset Treasury Company:DATCO)」を設立する。DATCOは初期段階としてゼトリックストークンに5億リンギットを割り当て、将来的には10億リンギットまで拡大する計画だという。
同トレジャリーは、RMJDT取引におけるネットワークガス代を安定的に維持する役割を担うとされている。さらにDATCOは、ゼトリックストークンをステーキングし、MBIにおける最大10%のバリデータノードを支援する予定だという。これにより、ブロックチェーンエコシステムの安全性と効率性を高めると同時に、国家レベルでの長期的なWeb3の耐久性を強化するとしている。
なお各国では、自国通貨と連動するステーブルコインの発行や活用が広がりつつある。日本初となる円建てステーブルコイン「JPYC」は10月27日から発行を開始。韓国ではウォン連動型ステーブルコイン「KRWQ」がローンチ後2週間で累計取引高10億ウォンを記録したと発表されている。また中国でも人民元連動型ステーブルコインの発行承認が検討されていると報じられている。EU(欧州連合)でもEUの「暗号資産市場規制(MiCA/MiCAR:Markets in Crypto Assets Regulation)」に準拠したユーロ建てステーブルコイン「EUROD」が今年発行されるなど、法定通貨連動型ステーブルコインの取り組みは世界的に広がっている。
参考:プレスリリース
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