Strategy(ストラテジー)の会長であるマイケル・セイラー氏は2025年12月17日に、量子コンピューティングがビットコイン(BTC)に与える影響について、自身の見解をX(旧Twitter)で公開しました。
セイラー氏は、将来的に量子コンピュータの実用化が進んだとしても、それはビットコインを破壊するものではなく、むしろネットワークをより強固にする「飛躍(クォンタム・リープ)」をもたらすと主張しています。
同氏は、テクノロジーの進化に伴うアップグレードによってビットコインのセキュリティが向上し、アクセス不能となった古いコインが市場から事実上排除され、希少性がさらに高まるとの予測を示しました。
ビットコインの基盤となっているブロックチェーン技術については「量子コンピュータが既存の暗号アルゴリズム(ECDSAなど)を解読する可能性がある」との懸念が長年議論されてきました。
しかし、セイラー氏が指摘するように、ビットコインのプロトコルはコミュニティの合意に基づいてアップグレードが可能なため、量子耐性を持つ新しい署名アルゴリズムを導入することで、ネットワーク全体の安全性を確保することができます。
セイラー氏の主張で特に注目すべき点は、ビットコインの移行プロセスに関する以下のメカニズムです。
このプロセスが進むと、市場に流通する有効なビットコインの総量は実質的に減少し、量子コンピュータの脅威がビットコインのデフレ資産としての性質を強化する可能性があります。
これは、単なる暗号形式の変更に留まらず、ビットコインというエコシステムが「デジタル的な適者生存」を経て、より洗練された強固な資産へと進化することを意味しています。脆弱なコインが自然に淘汰され、自己防衛能力を高めたコインだけがネットワークに残ることで、長期的な保有者にとっては、ビットコインに対する信頼の土台がさらに盤石なものになると考えられます。
また、セイラー氏のこのビジョンは、ビットコインを単なるソフトウェアではなく「進化し続けるデジタルエネルギー」として捉える考え方に基づいています。外部からの破壊的な力(量子コンピュータ)を、逆に内部の純度を高めるためのエネルギーに変換してしまうというこの逆説的なアプローチは、ビットコインが持つ「アンチフラジャイル(衝撃を糧に強くなる性質)」を象徴していると言えるでしょう。
ビットコインの最大供給量は2,100万枚と定められていますが、初期のマイニング分や秘密鍵の紛失により、数百万BTCがすでにアクセス不能になっていると推定されています。
量子時代の到来によって、これらの「休眠状態」のコインが新しい安全なプロトコルに移行されない場合、それらは永久に市場から隔離されることになります。これは有効供給量の削減を意味し、生き残ったビットコインの価値を相対的に高める要因となります。
また、量子コンピューティングの発展は、単なる脅威ではなく、ビットコインを最新の計算科学に適応させるための触媒として機能すると考えられています。
マイケル・セイラー氏は、これまでもビットコインを「デジタルゴールド」や「地球上で最強の資産」と評してきましたが、今回の発言は「テクノロジーのパラダイムシフトさえもビットコインの優位性を高める材料になる」との強い信念を改めて示すものとして注目を集めています。
ビットコインやその他の暗号資産と量子コンピューティングの関係については様々な意見が出ていますが、今後量子技術の実用化が現実味を帯びていくと、ビットコイン開発コミュニティによる「量子耐性ソフトフォーク」などの議論はさらに活発化することになると予想されます。
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source:Michael Saylor氏のX投稿
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