●Trump Media & Technology Groupが「アメリカファースト」を掲げるETF5本を上場し、ソラナ(Solana)のDEX取引高は38日ぶりの高水準に急増した。
ソラナ価格は125ドルを回復し、主要暗号資産(トップ10)の中でこの日の上昇率トップとなった。
テクニカル指標では、2026年を見据えた最初の上値目処として135ドルと173ドルが意識されている。

トランプメディア、アメリカ・ファーストなETF5本を上場──ソラナDEX取引が急増

Trump Media & Technology Group(トランプメディア&テクノロジーグループ)は12月31日、5本の新たな「アメリカ・ファースト」を掲げるETF(上場投資信託)をニューヨーク証券取引所に上場した。ETFは、同社フィンテック部門「Truth.Fi」を通じて提供され、防衛、エネルギー、不動産投資信託(REIT)など、共和党支持が強い州と関係の深いセクターを対象としている。

ETF上場のニュースが伝わるのと同タイミングで、トランプ大統領のデジタル資産関連の取り組みと関係が深いソラナ(Solana)のDEX(分散型取引所)エコシステムで取引が急増した。DefiLlamaのデータを引用し、エコシステム情報を集約するSolanafloorは、ソラナのDEX取引高が41億2000万ドルに達し、過去38日間で最高水準となったと報告している。

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〈ソラナは12月31日に1.5%上昇し、トップ10暗号資産で最大の上昇率を記録|CoinMarketCap〉

ネットワーク活動の急増を背景に、ソラナ価格は1.5%上昇し、執筆時点で重要な節目である125ドル台を回復。CoinMarketCapのデータによると、この日、ソラナは時価総額上位10銘柄の中で最も大きな上昇率を記録した。

ミームコインのTrump Coin(TRUMP)とMelania Coin(MELANIA)は、2024年の大統領就任式前後にソラナ上でローンチされた。WLFI(World Liberty Financial)トークンもソラナをネイティブ基盤として運用されている。WLFIは、ソラナの低コストかつ高速なインフラを活用し、ステーブルコインUSD1の発行や、Bonk、Raydiumとの戦略的提携などDeFi(分散型金融)の展開を進めている。

トランプブランドの暗号資産プロジェクトと、ソラナDEX取引高の増加が同時に起きたことで、両者の関連性が改めて意識され、メディア露出の拡大がソラナにポジティブな影響を与えているとの見方が強まっている。

ソラナ価格見通し:ゴールデンクロスが示す2026年に向けた最初の目標は173ドル

ソラナの日足チャートでは、2025年の終盤にかけてフォーリングウェッジ(下落が徐々に収束する形)からの上抜けが形成されつつある。これは過去の傾向から、取引高を伴えばトレンド反転につながりやすいパターンとされる。

執筆時点でソラナは約125.85ドルで取引され、日中では0.78%上昇している。これは買い手の存在感が徐々に強まっていることを示す。50日移動平均線と200日移動平均線が交差するゴールデンクロスのシグナルからは、最初の上値目標として約173.34ドルが示唆されており、これは過去高値から引いた上値抵抗線とも一致する。

alt 〈ソラナ価格見通し:テクニカル指標が135ドルと173ドルを重要水準として示す|TradingView〉

モメンタム指標は中立的で、RSI(相対力指数)は45.9となっている。まだ、買われ過ぎの水準には達しておらず、上昇余地が残っていることを示す。強気シナリオでは、125ドル台を維持することが重要で、135〜140ドルを明確に上抜ければ、再び強気トレンドが主導権を握ったと確認できる。

回復基調が続けば、次の節目は155ドル、その先の主要ターゲットは173ドルとなり、現在の水準から約38%の上昇余地がある計算となる。この水準を明確に突破すれば、2026年初頭に向けて心理的節目である200ドルへの道が開けるだろう。

一方で、125ドルを維持できなかった場合、強気シナリオは崩れ、短期的には118ドルや110ドル付近までの調整リスクが意識される。

トランプメディア株は下落、バロンズは市場の慎重姿勢を指摘

一方、トランプメディア&テクノロジーグループ(DJT)の株価は、ETF上場後に4.48%下落した。これは、伝統的金融市場の投資家による「材料出尽くし」の反応を反映したものとみられる。

米経済誌Barron’s(バロンズ)の記者、Mackenzie Tatananni(マッケンジー・タタナンニ)氏は、ETF上場が短期的な収益拡大につながるとの見方は、市場では広がらなかったと指摘している。報道によると、同社は積極的な事業多角化を進めているものの、依然として赤字経営が続いており、2025年第3四半期の純損失は約5500万ドル、売上高の伸びは限定的だった。

alt 〈トランプ・メディア&テクノロジー・グループ(DJT)の株価はETF上場後に約5%下落|NASDAQ〉

同社は現在、原点であるソーシャルメディア企業の枠を超え、核融合、ビットコインを活用した財務戦略など、さまざまな分野へ事業を拡大している。とはいえ、依然として「Truth Social」が中核事業であり、同社の時価総額約35億ドル(2026年を前にした評価)を支える最大の収益源となっている。


こうした投資家心理の分かれ目は、ソラナと結びついたトランプ関連暗号資産に対する個人投資家の熱狂と、米大統領の企業活動に対する不透明感や変動の大きさを警戒する伝統的市場の慎重姿勢との対比を映し出している。