米フィンテック企業Ripple(リップル)は1月9日、英国金融行動監視機構(FCA)から電子マネー機関(EMI)ライセンスおよび暗号資産(仮想通貨)登録(Cryptoasset Registration)の承認を取得したと発表した。これによりリップルは、英国の金融機関や企業向けに、デジタル資産を活用したクロスボーダー決済サービスを本格的に拡大できる体制を整えた。
今回の認可は、リップルが提供するエンドツーエンドの国際送金ソリューション「Ripple Payments」を、英国市場において正式にライセンスのもとで展開するための重要な節目となる。英国の規制当局から包括的な承認を得たことで、リップルは規制順守を前提とした形で、より多くの金融機関をグローバル決済ネットワークへと接続できるようになる。
規制下で動くクロスボーダー決済基盤
Ripple Paymentsは、資金の流れを一元的に管理し、世界各地の支払いパートナーと接続することで、迅速かつ透明性の高い国際送金を実現するプラットフォームだ。企業や金融機関は、複雑なブロックチェーンの運用やインフラ構築を自前で行う必要がなく、リップルがその裏側を担うことで、短期間でデジタル決済サービスを立ち上げることができる。
EMIライセンスの取得により、リップルは英国において電子マネーを用いた決済サービスを正式に提供できるようになり、暗号資産登録によって、デジタル資産を活用した送金を規制の枠組みの中で実行できるようになる。これは、規制とイノベーションの両立を重視する英国市場において、重要な意味を持つ。
「実証実験の時代は終わりつつある」
リップルのプレジデントであるMonica Long(モニカ・ロング)氏は、次のように語っている。
ロング氏はまた、英国がこのビジョンを実現するための「規制に準拠したインフラ」を受け入れている点を高く評価し、今回のFCA承認を「非常に心強い動き」と位置付けている。
英国市場への長期的コミットメント
リップルにとって英国は、単なる一市場ではない。同社は2016年以降、米国外で最大規模となる拠点をロンドンに構えており、英国をグローバル戦略の中核に据えてきた。これまで継続的に人員を増強してきたほか、英国のブロックチェーン開発者やスタートアップへの支援、大学研究への投資も積極的に行っている。
特に、大学向け研究支援プログラム「University Blockchain Research Initiative(UBRI)」を通じて、これまでに500万ポンド(約10億6000万円、1ポンド=212円換算)以上を英国の大学に拠出してきた点は、エコシステム全体の底上げを狙った取り組みと言える。
リップルの英国・欧州担当マネージングディレクターであるCassie Craddock(キャシー・クラドック)氏は、次のように述べている。
さらに、規制の明確化が採用を後押しする点にも言及し、「英国はその恩恵を最大限に享受できる立場にある」と強調した。
決済からカストディ、ステーブルコインまで
リップルは、決済サービスにとどまらず、機関投資家向けのデジタル資産インフラを包括的に提供している。カストディ(資産管理)、決済、そして同社のステーブルコイン「Ripple USD(RLUSD)」に加え、マルチアセット対応のプライムブローカー「Ripple Prime」も展開している。
Ripple Primeは、外国為替、デジタル資産、デリバティブ、スワップ、債券などを横断する清算、プライムブローカレッジ、ファイナンス機能を提供し、伝統金融とデジタル資産をまたぐ「ワンストップ型」のサービスを目指している。
リップルの各種プロダクトは、同社が開発・貢献してきたパブリックブロックチェーン「XRP Ledger(XRPレジャー:XRPL)」を基盤としている。XRPLは、ネイティブデジタル資産であるエックス・アール・ピー(XRP)を用いることで、低コストかつ高速な国際送金を可能にする設計が特徴だ。
|文・編集:Shoko Galaviz
|画像:Shutterstock
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