ブロックチェーン分析企業のグラスノードは23日、ビットコインが先週一時97,600ドルまで急騰した局面についての市場分析レポートを公開した。同社は、プロ投資家が多く参加するオプション市場のデータを分析し、先週の上昇劇がなぜ持続せず、本格的なブレイクアウト(価格帯の上抜け)に至らなかったのか、その背景を解説している。
1月中旬、ビットコイン価格が数日で約8%上昇し9.7万ドルに迫った際、オプション市場では強気のシグナルが一部で点灯していた。下落に備える「プット」に対し、上昇に賭ける「コール(買う権利)」の取引が活発化し、需給は一時的に強気に傾いた。一見すると、市場はさらなる上昇を確信しているかのように見えた。
しかし、グラスノードはこの動きが「1週間」というごく短い期間の契約に集中していた点を指摘する。市場心理の偏りを示す「スキュー」という指標を見ると、1週間先の短期分では下落警戒が薄れたものの、1ヶ月や3ヶ月先といった中長期の指標は、依然として「下落警戒(プット優勢)」の領域に留まっていた。つまり、投資家は瞬間的な上昇に乗じつつも、その後の価格維持には懐疑的だったことがわかる。
さらに決定的なのは「ボラティリティ(変動率)」の動きだ。通常、価格が重要なラインを突破して本格上昇する際は、ボラティリティも上昇する傾向にある。しかし先週の局面では、価格上昇に伴いボラティリティが低下していた。これは、市場参加者がさらなる急騰に賭けるよりも、価格が上がったところで利益確定の売り(ガンマの売却)を出していたことを意味し、本格的な上昇トレンドの挙動とは逆行していた。
グラスノードは、理想的なブレイクアウトの条件として「現物価格の高値更新」「短期から長期まで全期間での強気心理への転換」「ボラティリティの上昇」の3点を挙げている。先週の9.7万ドルへのトライは、短期的な熱狂こそあったものの、中長期的な確信やボラティリティの裏付けを欠いていたため、これら条件を満たさなかったと結論付けた。
今回のデータは、価格が一時的に急騰しても、プロの投資家たちが中長期的な視点では冷静にリスクを見積もっていたことを浮き彫りにした。個人投資家にとっても、単に価格が上がったからといって飛びつくのではなく、「その上昇が短期的な投機によるものか、中長期的な確信を伴うものか」を見極める重要性が、今回の9.7万ドルからの反落で改めて証明されたと言えるだろう。
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