米国財務省はGENIUS法に基づき議会へ提出した報告書の中で、仮想通貨ミキシングサービスが正当なプライバシー保護の目的に利用され得ることを正式に認めた。
一方で、違法資金対策の強化に向けた新たな規制措置も提案している。報告書は、パブリックブロックチェーンでは取引情報が原則公開される構造にあると説明した。そのため、個人資産の保護、企業への支払い、慈善寄付、消費者支出などの情報を第三者に追跡されることを避けたい利用者が、ミキサーを使用する可能性があると指摘している。
ミキシングサービスは複数の取引を統合または再分配することで、資金の発生元や送金先の特定を困難にする仕組みである。中央管理者が資金を一時的に管理するカストディ型と、中央機関を介さずに機能する非カストディ型が存在する。
財務省はカストディ型について、既存の規制枠組みの対象となる可能性があるとした。マネーサービス事業者としての登録、記録保存、疑わしい取引報告書の提出などが求められる場合がある。一方で、非カストディ型は監視が困難であるとして高リスクカテゴリーに分類された。
合法的な利用を認める一方、違法金融リスクへの警戒も明確に示されている。報告書によれば、2020年以降にブロックチェーンブリッジから引き出された374億ドル(約5.9兆円)超のうち16億ドル(約2,528億円)がミキサーを経由した。また2024年から2025年にかけて北朝鮮関連の攻撃者が少なくとも28億ドル(約4,424億円)相当のデジタル資産を盗み、痕跡を隠すためにミキシングサービスを利用したと記載されている。
報告書で示された主要提案の一つが、仮想通貨プラットフォームに対し、調査中の疑わしいデジタル資産を一時的に停止できる権限を付与する法案である。
いわゆるホールド法と呼ばれるこの仕組みは、当局が違法行為の有無を評価する間、資金移動を凍結できる枠組みとされる。財務省はこの権限を限定的に調整された措置と説明している。一方で、仮想通貨アナリストのカイル・シャッセ(Kyle Chasse)氏は、疑わしい活動報告制度の下では利用者に凍結理由を説明できない可能性があると指摘した。
さらに財務省は、分散型金融事業体のうち、どの主体がマネーロンダリング(資金洗浄)防止およびテロ資金供与対策の義務を負うのかを明確化する必要があると提案した。中央管理者を持たない分散型プロトコルは、既存の規制枠組みとの整合性が課題となっている。
議会では、デジタル資産サービスプロバイダーへの顧客確認義務や2025年デジタル資産市場透明化法案に関する議論も続いている。Paradigm(パラダイム)のアレクサンダー・グリーブ(Alexander Grieve)氏は、同法案がオープンソース開発者に対する十分な保護を欠いていると述べた。
またイーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、プライバシーツールは犯罪の道具ではなく保護手段であると主張している。トルネードキャッシュ開発者のローマン・ストーム(Roman Storm)氏は無認可送金事業に関する共謀で有罪判決を受けたが、より重大なマネーロンダリングおよび制裁関連容疑では陪審評決が一致していない。
財務省の報告書は、ミキサーの合法的利用を認める一方で、違法資金対策の強化を明確に打ち出した内容となった。議会の対応や司法判断が、今後の規制の方向性を左右することになる。
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